TIPS / プレスリリース

ニュースバリューの作り方|平凡な出来事を話題に変える5つの法則

BanPress編集部プレスリリース
BANPRESS TIPS

ニュースバリューの作り方

プレスリリースBanPress

「うちにはニュースになるような特別な出来事はない」と感じていませんか。ニュースバリューは、情報の「切り口」を変える技術で作るものです。その本質は、自社の宣伝(広告)をしたいという欲求を捨て、社会性や物語性といった「報道価値」(広報)を付加することにあります。この記事では、どんな企業でも今日から実践できる、平凡な事実をニュースに変える5つの具体的な法則を解説します。

ニュースバリューの正体は「広告」と「広報」の視点の違いにある

多くの情報発信が失敗する根本的な原因は、「広告」と「広報」を混同している点にあります。広告の目的は、費用をかけて自社の商品やサービスを「売り込む」ことです。一方、広報の目的は、メディアという第三者を通じて、社会に「知らせる価値のある情報」として伝えてもらうことです。

プレスリリースの最初の読者は、消費者ではなく、多忙な記者や編集者です。彼らは企業の宣伝を手伝うのが仕事ではありません。「これは読者や視聴者の役に立つか」「社会にとって意味があるか」という基準で情報を厳しく選別しています。売り込み色の強い広告的な表現は、この段階で真っ先に捨てられます。

ニュースバリューを作る第一歩は、この「広告脳」から「広報脳」へとスイッチを切り替えることです。伝えたいことを、社会という大きな文脈の中に位置づけ、客観的な言葉で語り直す必要があります。

チェックリスト:あなたの表現は「広告」か「広報」か

目的広告的表現(NG例)広報的表現(OK例)
新製品発表「すごい!安い!早い!究極の業務効率化ツール新登場!」「〇〇株式会社、バックオフィス業務の労働時間を大幅に削減する新クラウドサービス『〇〇』を提供開始」
イベント告知「家族みんなで楽しめる!わくわくサマーフェスティバル開催決定!」「〇〇市、地域経済活性化を目指し、多数の地元企業が出展する『〇〇フェスティバル』を8月10日に開催」
実績報告「おかげさまで大好評!売上No.1を達成しました!」「〇〇(調査機関名)の調査により、弊社の『〇〇』が2024年度上半期の〇〇部門で出荷数トップを記録」

平凡な事実を「物語」に転換するストーリーテリングの技術

スペックや機能の羅列は、ニュースになりません。人の心を動かし、記者が「記事にしたい」と思うのは、その裏側にある「物語」です。開発の苦労、創業者の情熱、顧客との心温まるエピソードといった血の通ったストーリーこそが、ニュースバリューの源泉となります。

どんな商品やサービスにも、必ず生まれた背景には物語が存在します。それは、誰かの「不便」「不満」「不安」を解決したいという想いです。その想いを掘り起こし、具体的なエピソードを交えて語ることで、単なる「モノ」や「コト」は、共感を呼ぶ「物語」へと昇華します。

特に、失敗談や逆境を乗り越えたエピソードは、物語に深みと信頼性を与えます。完璧な成功物語よりも、試行錯誤の末にたどり着いたという事実は、聞き手の共感を強く引き出します。

ストーリーを発掘するための3つの魔法の質問

社内の関係者に以下の質問を投げかけることで、埋もれていた物語の種が見つかります。

  1. 「なぜ、この事業(商品)を始めようと思ったのですか?」 きっかけとなった原体験や、創業者の個人的な想いを深掘りします。
  2. 「開発(実現)する上で、最も高かった壁は何でしたか?」 失敗談、反対意見、技術的な困難など、逆境のエピソードを引き出します。
  3. 「この事業(商品)を通じて、最終的に誰の、どんな笑顔が見たいですか?」 単なる売上目標の先にある、社会や顧客への貢献という視点を明確にします。

ニュース価値を量産する「5つのニュースの型」チェックリスト

「物語」を発掘したら、次にそれをニュースとして成立させるための「型」に当てはめてみます。メディアが報じやすいニュースには、いくつかの共通したパターンがあります。自社の取り組みが以下のいずれかの型に当てはまらないか、チェックしてみてください。複数の型を組み合わせることで、ニュースバリューはさらに高まります。

1. 新規性・優位性(新しい、珍しい、すごい)

「日本初」「業界初」「世界最小」など、他との比較で新しさや一番であることを示す切り口です。技術的な新しさだけでなく、ビジネスモデルや提供方法の新規性も含まれます。

  • フレーズ例:「〇〇業界で初となる、サブスクリプション型の〇〇サービスを開始」
  • チェック項目:他社がやっていないことは何か?地域で一番なことは何か?過去に前例がないことは何か?

2. 社会性・公共性(世のため、人のため)

SDGs、地域活性化、働き方改革、環境問題、少子高齢化といった社会課題の解決に貢献する取り組みです。企業の利益追求だけでなく、社会全体への貢献という視点は、多くのメディアが関心を寄せるテーマです。

  • フレーズ例:「売上の一部を〇〇(地域の課題)解決のために寄付する新商品を発売」
  • チェック項目:自社の活動は、どの社会課題につながっているか?地域社会にどんな良い影響を与えているか?

3. 意外性・ギャップ(まさか、そんな組み合わせが)

常識や固定観念を覆すような、意外な組み合わせや事実を提示する切り口です。「元フレンチのシェフが作るラーメン店」「IT企業が始めた農業」など、人々が「え?」と驚くようなギャップは、強い関心を引きつけます。

  • フレーズ例:「平均年齢70歳のシニア劇団が、若者文化の聖地・渋谷で公演」
  • チェック項目:業界の常識と逆のことは何か?自社のメンバーの経歴に意外な点はないか?商品やサービスの使われ方に意外な点はないか?

4. 権威性・信頼性(お墨付きがある)

公的機関の調査データ、専門家のコメント、受賞歴、有名な企業や大学との共同研究など、第三者による客観的な評価や裏付けを示す切り口です。自社の主張に信頼性を与え、ニュースとしての説得力を高めます。

  • フレーズ例:「〇〇大学との共同研究により、〇〇の効果を科学的に実証」
  • チェック項目:引用できる公的な統計データはないか?専門家から推薦コメントをもらえないか?何らかの賞に応募できないか?

5. 有用性・時事性(今、役に立つ)

季節のイベント(バレンタイン、花粉症)、法改正、トレンドなど、世の中の関心事と自社の情報を結びつける切り口です。「今、多くの人が知りたいこと」に答える情報は、メディアにとって非常に価値があります。

  • フレーズ例:「本格的な夏を前に、熱中症対策の新常識となる〇〇を提案」
  • チェック項目:これから話題になる季節やイベントは何か?最近のニュースやトレンドと関連づけられないか?

AI時代の情報発信:人間は「感情の深掘り」に集中せよ

AIによる音声認識や文字起こし、質問生成が当たり前になった今、広報担当者の役割は変わりつつあります。情報の「網羅性」を担保するのはAIに任せ、人間はAIが引き出しにくい「感情」や「行間」を読み解き、物語を深掘りすることに集中すべきです。事実を並べるだけでは、人の心は動きません。その事実の裏にある感情こそが、ストーリーの核となります。

AIを単なる効率化ツールとして使うのではなく、人間がより創造的な仕事に集中するための「壁打ち相手」として活用するのです。

AIと人間が協働するインタビューの3ステップ

  1. 【AI】事実関係のインタビュー: まず、AIの質問生成機能を使い、製品のスペック、開発時期、価格、ターゲットといった「5W1H」に関する基本的な事実を網羅的にヒアリングし、自動で文字起こしさせます。
  2. 【人間】感情のトリガーを探す: 次に、人間がその文字起こしを読み込みます。特に、回答者が言葉に詰まった箇所、熱を帯びて語っている箇所、抽象的な表現を使っている箇所に注目します。そこが、感情や物語が隠れている「トリガー」です。
  3. 【人間】物語を深掘りする追問: 最後に、人間がそのトリガーを元に対面で追問します。「先ほどのインタビューで『大変だった』と仰っていましたが、具体的にどんな壁があったのですか?」「その時、チームの雰囲気はどうでしたか?」といった問いで、AIでは引き出せない生々しい感情やエピソードを掘り起こします。

記者の仕事を助ける「おもてなし」のプレスリリース作成術

ニュースバリューのあるネタを見つけたら、それをプレスリリースにまとめます。ここでも重要なのは「記者への価値提供」という視点です。記者が記事を書きやすいように、情報を整理して提供する「おもてなし」の心が、掲載率を大きく左右します。

最も重要な原則は「結論ファースト」です。記者は一日に数百通のリリースに目を通すため、冒頭の数行で内容が理解できなければ、その先は読まれません。学校で習う「起承転結」ではなく、まず結論を述べ、次に詳細を説明する「逆ピラミッド型」で構成します。

そのまま使えるプレスリリース構成テンプレート

  • タイトル: 30文字前後で、誰が何をするのか、最も魅力的なニュースの型(新規性など)を盛り込み、具体的に記述します。
  • リード文(第1段落): 挨拶は不要。最も重要な結論(5W1H)を3〜4行で簡潔にまとめます。記者はここだけ読んで、続きを読むか判断します。
  • 本文(第2〜3段落): リード文の内容を補足します。なぜこの取り組みが重要なのかという社会的背景(社会性)、開発の経緯や苦労話(物語性)、他社との違い(優位性)、客観的なデータ(権威性)などを盛り込み、ニュースの価値を多角的に伝えます。
  • 補足情報: 関係者のコメント、今後の展望、用語解説など、記事の材料となる付加情報を記載します。
  • 問い合わせ先・企業情報: 担当部署、連絡先、企業概要(ボイラープレート)を必ず明記します。

まとめ

ニュースバリューは、特別な才能や莫大な予算がなくても、作り出すことができます。自社の都合を伝える「広告」から、社会の関心事に寄り添う「広報」へと視点を変えることが全ての出発点です。平凡な事実の中に眠るニュースの価値を、5つの法則を使って見つけ出し、世の中に届けていきましょう。

  1. ニュースバリューの基本は「広告」ではなく「広報」の視点に立つこと。
  2. スペックではなく、人の心を動かす「物語」を語ること。
  3. 「新規性」「社会性」など、メディアが求める「5つのニュースの型」で切り口を見つけること。
  4. AI時代、人間は事実の裏にある「感情」の深掘りに集中すること。
  5. プレスリリースは「結論ファースト」で記者の仕事を助ける構成にすること。

※記事中の例文に登場する企業名・商品名・サービス名・数値は、理解を助けるための架空の例であり、実在のものとは関係ありません。

よくある質問

ニュースになるようなネタが全く思いつきません。どうすればいいですか?

ネタは社内に必ず眠っています。「ユーザー事例」「販売実績」「社内制度の変更」「社員のユニークな経歴」「業界に関する自主調査」など、日常業務の中にニュースの種は隠れています。まずは思いつく単語を自由に書き出し、それらを「5つのニュースの型」に当てはめてみてください。意外な切り口が見つかるはずです。

プレスリリースは、どのメディアに送ればいいのでしょうか?

まずは、自社の事業と関連の深い業界専門紙や、所在地の地方紙、市報など、身近で掲載のハードルが比較的低いメディアからアプローチするのが効果的です。そこで掲載実績を作り、その記事を添えて、より大きなメディアへ段階的にアプローチする「シャンパンタワー方式」が成功の鍵です。いきなり全国紙やテレビを狙うより確実性が高まります。

地方の小さな会社でも、全国的なニュースになる可能性はありますか?

可能性は十分にあります。メディアは会社の規模でニュース価値を判断しません。むしろ、地方発のユニークな取り組みや、大企業にはないストーリー性、社会課題解決への貢献といった点に魅力を感じます。ニッチな分野での「日本初」や、地域活性化に貢献する物語は、全国メディアにとっても魅力的なニュースになり得ます。

ニュースバリューの作り方|平凡な出来事を話題に変える5つの法則 | BanPress TIPS